公衆衛生の普及や著しい医療の進歩にもかかわらず、
感染症はいまだ人類の大きな脅威になっています。
特に、新型インフルエンザの大流行です。
保健医療分野での対策方針は、
インフルエンザの専門家によって取りまとめられたものであり、
新興感染症対策の世界基準に則った内容となっています。
しかし、日本の保健医療現場の状況は近年激動にあり、
新型インフルエンザの大流行に対して、
急速に変化しつつある現場の状況に対応しながら、
行動指針が規定する対策を進めていくのは至難の業です。
また、指針と手引きは、区別して考える必要があります。
すなわち、国が示す指針は1つの
課題に対して大まかな方針を定めたものであり、
実際の保健医療現場で対応を行う際の手引きは、その方針に従って態勢を作り、
それを運営していくための具体的な手順を示すものです。
しかし残念ながら、これまで新型インフルエンザ対策の指針が
次々と改訂されていくなか、保健医療現場では新型インフルエンザが
発生したときの問題の要点とその具体的な対策手順を具体的に解説し
関連資料を収録したマニュアルは殆ど出されていません。
新型インフルエンザ対策には、他の感染症対策とは異なる特性があります。
例えれば、大流行がいつ起こり、どれくらいの期間続くのか、
流行するウイルスの病原性・毒性はどれくらい強いか、
予防ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬は有効なのか、
等々、誰もが思いつく素朴な疑問について誰もが精確に
答えることが出来ないことです。
このような事情が保健医療の最前線でなかなか進歩しない、
現実的な対応策ができていない要因になっています。
新型インフルエンザ発生が現実化した今こそ、
保健医療分野における迅速かつ確実な対応が求められています。
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