2012年5月31日木曜日

発生国からの帰国者はどのような対応をうけるか?

発生国からの帰国者はどのような対応をうけるか?

日本政府は海外で新型インフルエンザの流行が発生した際に、
空港や港湾で検疫の強化を行う。
こうした対応で国内への侵入を防ぐことはできないが、
新入を遅延させることは可能とされている。
新型インフルエンザの発生国からの帰国者は、
この政府の方針に沿った対応を受けることになります。
検疫の強化は原則としてWHOが新型インフルエンザの発生を
宣言してから行われますが、宣言前でも日本政府が新型発生の
可能性が高いと判断した時点から実施されます。
戦役は原則として機内もしくは船内で行われ、
具体的には健康質問表への記入を依頼するとともに、
サーモグラフィーなどで体温を測定し有症者を発見する。


新型インフルエンザを疑う患者がいた場合、
検体を採取後、患者はただちに指定医療機関に搬送される。
検査で診断が確定すれば隔離措置がとられる。
診断が確定しなければ一定期間停留され、健康監視を受ける。
疑い患者の同行者や機内で近くに着座した者は
濃厚接触者として扱われ、疑い患者の検査結果が判明するまでは
空港内などで待機し、確定したら停留施設に
検疫所長が定めた期間内収容され健康監視を受けます。
(この期間は、最大10日間としています。)

職場での流行初期の対応

職場での流行初期の対応

国内で新型インフルエンザの流行が始まった段階で、
疑わしい患者は感染症指定医療機関等に隔離され、
濃厚接触者については
抗インフルエンザウイルス薬の予防投与が行われます。
職場で患者が発生した際も、この方針に従わなければならない。
職場で一人の患者が発生すると、
その周辺の従業員も濃厚接触者として欠勤する可能性があるため、
こうした事態を想定した事業継続を考える必要がある。
流行が拡大してきた時期には各所で患者が発生している状況となる為、
まずは、職場に患者を侵入させない対策をとるべきです。


患者が滞在した場所の消毒が大切で、直前まで居た部屋の
換気・飛沫が飛んだり触れた
個所(机・ドアノブ・便座)等は消毒薬で拭き取る。
患者の職場復帰の目安としては、
まずは病状の回復が前提となるが、
通常の季節性インフルエンザでは感染性が
消失するのは発病してから1週間程度である。
こうした情報は新型インフルエンザの流行が始まった時点で、
さらに明らかになるだろう。
従業員の体調が万全であることを確認した上で
業務につかせることが大切。

職場での対策の目標は?

職場での対策の目標は?

企業の立場として新型インフルエンザの流行をながめてみると、
それは従業員の健康問題であるだけでなく、
経営上のききとして対処すべき問題であることが明らかとなってくる。
日本政府の推計では流行のピークに従業員の40%が欠勤し、
その状態が2カ月間は続くと予想しています。
2009年2月に発表された、
「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」
で2つの目標が提示されています。


「従業員の健康保持」と「事業継続」
という2つの目標は相反する方向性をもつ。
従業員を新型インフルエンザの感染から守る為にには、
職場を一時閉鎖が効果的な方法であるが、
それでは事業継続が出来なくなる。
一方、流行時の事業継続を優先するのならば、
従業員の感染をある程度は覚悟しなければならない。
こうした状況から2つの目標のバランスをとりながら
職場の新型インフルエンザ対策をすすめることが必要になってくる。
このためには、職場の健康管理スタッフだけでなく、
経営責任者、危機管理担当者など幅広い人材を集めて、
総合的な対策を立案することが求められます。

家庭内の感染防御・感染管理

家庭内の感染防御・感染管理

新型インフルエンザは、特別な医療行為以外は空気感染しないと考えられています。
家庭内での感染防御は、接触感染と飛沫感染予防です。
外出の機会をなるべく減らし、やむ得ない場合必ずマスクを着用し、
携帯用アルコールスプレーを持参する。公共交通機関を利用せずに、
近場で幼児を済ませるのが基本です。
訪問者は極力自宅へ上げず、インターホンで対応し、
対面しなければならない用事がある場合、
外出時と同等の防御が望ましい。


家族にインフルエンザ様症状が発生したときには、
夜間でもただちに発熱外来を受診すげきです。
抗インフルエンザウイルス薬を一刻も
早く内服開始することが肝要です。
発熱者に濃厚接触してしまった家族がいる場合は
同時に予防内服開始が望ましい。
患者を自宅で療養させるには、個室に収容するのが基本です。
看病する際は、マスクとビニールエプロンを必ず着用し、
患者の枕元に消毒剤を配備して手指を消毒してから退出する。
冬場でなければ、病室の窓を頻繁に開けて換気することが大切。

家庭に備蓄すべき物品は何か?

家庭に備蓄すべき物品は何か?

食料品や生活必需品の備蓄目的

食料品や生活必需品の備蓄が推奨されている理由として、
新型インフルエンザ大流行した際、
さまざまな物資の生産や流通が減少・停滞し、
食料品や生活必需品の入手が
困難になるのではないかとの懸念があります。
例えれば、感染予防の為のマスクなどです。


マスクの備蓄について

家庭におけるマスクの備蓄は、不織布マスク
(市販マスクの97%がこのタイプである、サージカルマスクともよばれる)
が推奨されている。密閉性の高い「N95マスク」や
「粉じんマスク DS2」は、着用に訓練が必要であり、
かつ長時間の使用は困難だからである。
不織布マスクは一人あたり、20~25枚の備蓄が推奨されている。
この積算根拠は、新型インフルエンザの第一波の流行時間を8週間と想定し、
やむを得ない外出用(週2回程度と想定)としての約16枚に、
発症した場合の約10枚(1日1枚)を合わせたものである。
また、備蓄に際してはマスクの大きさに配慮し、
必要に応じて子供用マスクも備蓄することが望ましい。

個人に求められる行動

個人に求められる行動
社会活動の制限を円滑に実施するため、
一人ひとりの個人には、
マスクや手洗いなどの感染防止策などに加えて、
以下のような行動が求められる。

1.情報収集
居住地域での流行状況や社会活動の制限について、
地方自治体の提供する情報等の収集に努める。

2.外出自粛
患者自身やその同居者の外出自粛はもとより、
ふだんの生活での接触機会の低減のため、
不要不急の外出、(特に人混みに近づくこと)を自粛する。
このため、食料品や生活必需品の備蓄を行う。


3.学校が休業の場合の対応
子の通学する学校等が長期に休業になった場合に、
家庭内で役割分担して生活を維持していくこと。
また、学校の休業中は生徒たちが地域や店舗に多数集まったり、
クラブ活動をしないこと。

4.ゴミの排出抑制など
ゴミの回収活動や清掃工場の稼働も減少する可能性があるため、
ゴミの排出抑制やエネルギー消費の自粛に協力する。

タミフルの副作用・害2

タミフルの副作用・害

インフルエンザにかかればほとんど全員にタミフルが処方され、
世界の70%~80%も日本で使っている。
抗ウイルス剤としては効かないけれども、
脳の機能を抑制して、体温低下作用や幻覚、異常行動、
呼吸抑制から突然死などが無くなるとはありません。

インフルエンザに罹ったらどうする?
インフルエンザは自然に治まる「かぜ」の一種です。
タミフルを服用させる、服用するかどうかを考えるなら、
自然に治まるかぜに、死ぬかもしれないという害がある
タミフルを使うかどうかをよく考えてほしいのです。
インフルエンザならば暖かくして安静にしていれば自然に治まります。
タミフルは、発病後48時間以内に服用しなければ効かないというのですから
(そもそも効かないが)、熱もある一番つらい時に受診することになります。
その時間には暖かくして安静にして寝ているほうがよほど早く治るに違いありません。
薬は使わなくてよいのです。


熱がピークに達すれば寒気はなくなり、体が温かい感じがしてきます。
こうなればインフルエンザはもう峠を越し始めているのです。
このときに熱を下げるのは「愚の骨頂」「たいへんもったいない」のです。
解熱剤で下げるとまだ完全にはやっつけられていない
インフルエンザウイルスがまた元気を取り戻し、また寒けとふるえがきて、
最初よりも高熱にさえなりかねません。すこし退屈でもひたすら寝る。
眠れなくても目をつぶって横になっているだけでよい。薬は使わなくてよいのです。
そういう世界的常識に従っていれば、インフルエンザは怖くない!

タミフルの副作用・害1

タミフルの副作用・害

種々の情報を総合するとタミフルによる害は次のようなものです。
体温の低下は、インフルエンザが治ったと錯覚されやすいのですが、
実はタミフルが脳に働き体温を下げただけです。
ウイルスは体内にまだいます。
せん妄は急にわけのわからないことを言ったり、
行動したりする状態を言います。
行動だけに注目すると「異常行動」となります。
異常行動の結果自殺する可能性も否定はできません
(睡眠剤や安定剤では自殺も副作用の一つと考えられています)。
攻撃的になり暴力を振るうようなこともありえます。
これも睡眠剤や安定剤と同様です。
幻覚は、あるはずのないものが明瞭に見える。
ものがゆがんでみえたり、無地のものが縞模様に見えたり、
大きくなったり小さくなったりもします。
幻聴もあり、具体的な声や、音がガンガンと響く、
とくにまわりが静かになると、
耳の中で音がうるさく鳴ることもあります。


知覚の異常もあり、からだのあちこちが痛む
という訴えをすることもあります。
全く健康な男子であったのにタミフル服用後、
精神障害と診断されて入院し何か月も治療を
受けていた中学生もいます。
突然死もあります。
タミフルによって、より強く中枢が抑制されると、
行動が抑制され、眠気を生じ眠ってしまいます。
タミフルを服用して午睡中に突然死した子は、単に午睡ではなく、
タミフルの作用で眠気を催した結果眠ったと考えるべきです。
そして脳がさらに抑制されると呼吸が止まってしまいます。
呼吸が止まるのは最後の最後で、わずか前までは
息をしていたのに急に止まるので、
異常に気付いて病院に連れて行く途中で呼吸が
止まって亡くなった子もいます。
睡眠中突然死と異常行動死

タミフルとは・・・

タミフルとは・・・

タミフルは抗インフルエンザウイルス剤で、
有効成分はリン酸オセルタミビルです。
経口抗インフルエンザウィルス剤で、
A型およびB型インフルエンザ・ウイルスに効果があります。
インフルエンザの症状が始まってから48時間以内に内服を開始し、
朝夕1カプセルずつを5日間服用することになっています。
ウイルスの拡散を防ぐことによって増殖を抑え、
症状を早く回復させる効果があります。
高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)にも有効とされ、
服用もしやすいことなどから世界各国が備蓄を進めています。


治療目的としては、
インフルエンザ・ウイルスの増殖を抑え、症状を早く回復させる
利用できる方は、
タミフル75mgは成人及び体重37.5kg以上の小児が利用できます。
使用については、あらかじめ医師の診断を受ける事をお勧め致します。
治療方法:
通常、成人及び体重37.5kg以上の小児はオセルタミビルとして
1回75mgを1日2回、5日間経口服用してください。
タミフルの注意事項
体重37.5kg未満の小児にはシロップを使用してください。
1歳未満の小児への、オセルタミビル(タミフル)使用は認められていません。
通院中、又は持病のある方は、
ご使用前にかかりつけの医師・薬剤師などにご相談下さい。

2012年5月30日水曜日

妊婦のインフルエンザワクチン接種2

妊婦のインフルエンザワクチン接種

インフルエンザワクチンは不活化ウイルスワクチンである。
生ワクチンは生きた病原体を接種するため、
妊婦への接種は原則的に禁忌で、妊娠前に接種した場合には、
日本ではその後2ヶ月間、米国では3ヶ月間避妊することになっている。
一方不活化ワクチンやトキソイドは、
生きた病原体そのものを接種するわけではないため、
胎児への感染は問題にならない。
したがって、妊婦がもしも感染の可能性が高い状況にある場合には、
その予防接種を行う。
しかし、不活化ワクチンであっても、
ワクチン接種によって母体の全身反応や発熱、
場合によってはショックなどが起こる可能性もあり、
その場合には流産や早産のリスクがあるため、
積極的な接種には、十分なインフォームドコンセントや
その後の経過観察などの配慮が必要である。


日本では、妊婦に対する認識は比較的低く、
妊婦に対するインフルエンザワクチン接種の
影響の調査がまだ十分でないことから、
積極的には勧められないとしている。
しかし、現在までに、インフルエンザワクチン接種によって
特別の有害事象が発生したという報告はない。
これに対し、米国では、妊娠中のワクチン接種は積極的に勧められている。
インフルエンザの流行の始まる前に妊婦に接種することは、
できれば胎児の器官形成期である妊娠初期を除けば、
基本的に安全と考えてよく、また、妊娠に気付かず接種してしまった場合
でも問題はないと考えられる。

妊婦のインフルエンザワクチン接種1

妊婦のインフルエンザワクチン接種 非妊娠時と比較すると、インフルエンザに対する抗体を 有していない妊娠中期および末期の妊婦は、 インフルエンザに罹患する確率が有意に高まる。 そのため、米国ではCDC(疾病管理センター)、 産婦人科および小児科などの学会が妊婦に対する インフルエンザワクチン接種を 推奨している。 また、WHO(世界保健機関)も妊娠14週以降の妊婦に対する インフルエンザワクチン接種を推奨しており、 特に高血圧や腎疾患などを合併するハイリスク妊婦に関しては、 妊娠初期でもインフルエンザワクチンを接種すべきであるとし、 欧米において妊婦は、老人、小児と並びインフルエンザワクチン接種の 優先順位の上位にランクされている。

そのような欧米における現状とは対照的に、我が国においては、 使用されているインフルエンザワクチンの貼付文書に 「妊娠中の接種に関する安全性は確立されていないので、 妊婦または妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、 予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断されると 思われる場合にのみ接種すること」とあるため、 実際の日常臨床の場において、妊婦に対しインフルエンザワクチンを 積極的に接種することは、まれであると言わざるを得ない。

インフルエンザ漢方 抗ウイルスと同等かそれ以上の効果も2

インフルエンザ漢方 抗ウイルスと同等かそれ以上の効果も(2)

麻黄湯は麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、
杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)の
4つの生薬からなり、麻黄と桂皮は血管を拡張して
血行を旺盛に発汗を促す作用がある。
杏仁は麻黄と共に咳を治し、
甘草は麻黄と協力して利尿効果を表すと考えられている。
日頃から体が丈夫で汗が自然に出ない人を対象に体力が
著しく衰えている人に使うときは注意が必要です。
インフルエンザの治療に麻黄湯を使った最近の研究では
抗ウイルス薬などと同等か
それ以上の効果があることが報告されている。
さらに麻黄湯はインフルエンザによる発熱に
対する効果は抗ウイルス薬と
ほぼ同程度で全身倦怠感や頭痛、
筋肉痛に対する効果は抗ウイルス薬より
有効だったとの研究成果も出ている。


特に抗ウイルス薬は小児では異常行動などの副作用が心配されており、
副作用が少なく効果的な麻黄湯は有用な薬と位置付けられている。
日本感染症学会の新型インフルエンザ診療ガイドラインには、
一般的治療で「漢方薬による診療に習熟した医師のもとでは
一部の麻黄湯などの漢方薬を投与することも可能である」と記載されている。
古くからある漢方薬が新しく登場した薬に負けず劣らずの力を秘めている。

インフルエンザ漢方 抗ウイルスと同等かそれ以上の効果も1

インフルエンザ漢方 抗ウイルスと同等かそれ以上の効果も

インフルエンザは抗原性の違いから
A、B、C型の三種類があり、
普通の風邪と違ってのどの痛み、
鼻汁に加え39℃程度の高熱、
頭痛、関節痛、筋肉痛など全身症状が出て
倦怠感も強いのが特徴であります。
新型インフルエンザもこれまでの季節性と
同様に唾液による飛沫によって感染すると
考えられて、治療に西洋医学では抗インフルエンザ薬を用いるが、
漢方医学でも有効な薬方として麻黄湯(まおうとう)があります。


医師が用いる医療用漢方エキスの添付文書には
「インフルエンザ(初期のもの)に効果がある」と記載されている。
麻黄湯は古くから発熱や頭痛、首筋・肩、背中、腰など
全身の筋肉や関節の痛み、
動悸、息切れ、寒気、咳、鼻詰まり、のどの痛みなど、
さまざまな症状に効くといわれてきた。
このような症状が現在のインフルエンザで
見られる症状と一致していると考えられ医師にも広く使われている。

感染を防ぐ有効な手段は予防接種だけ。

感染を防ぐ有効な手段は予防接種だけ。

5歳以下の乳幼児が年間200人もインフルエンザによる
合併症で命を落としたという報告があります。
冬に流行するインフルエンザは、
脳炎や肺炎など命にかかわる合併症を起こすこともあり、
抵抗力の弱い赤ちゃんにはとても怖い病気です。
感染のリスクを抑え重症化を防ぐには、
適切な時期に予防接種を受けるしかないのです。
6カ月未満、卵アレルギーがある
(ワクチンにはわずかながら卵の成分が含まれているため、
ワクチン接種によりアレルギー反応を引き起こす可能性がある)など、
接種できない人がいる家庭では、
家族が予防してうつさないことが大切です。
接種する回数は、中学生以上の子ども、大人、お年寄りは1回、
小学生以下の子どもと乳幼児は、
間に2週間以上あけて2回接種すると効果が上がります。


インフルエンザは12月下旬から1月にかけて流行し始めます。
流行期までに免疫をつけておくには、
11月中に1回目の接種を済ませることがポイント。
赤ちゃんはインフルエンザの免疫がまったくないため、
2回の接種が必要です。
接種間隔は1~4週間ですが、3週間以上あけるとより効果的です。
遅くても12月上旬までには2回目を済ませましょう。
ワクチンの効果が十分に得られるのは、
2回目接種の4週間後からですが、
2週間以降からある程度の効果は出始めます。
ワクチンの効果は、免疫がついてから約5カ月間続きます。

接種によって引き起こされる症状

新型インフルエンザワクチンの接種によって
引き起こされる症状(副反応)について

季節性インフルエンザワクチンの場合、
比較的頻度が高い副反応としては、
接種した部位(局所)の発赤・腫脹、疼痛などがあげられます。
また、全身性の反応としては、発熱、頭痛、悪寒、倦怠感などが見られます。
さらに、まれに、ワクチンに対するアレルギー反応
(発疹、じんましん、発赤と掻痒感)が見られることがあります。


接種局所の発赤、腫脹、疼痛は、
接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、
2~3日で消失します。
全身性の反応は、接種を受けられた方の5~10%にみられ、
2~3日で消失します。

その他に、因果関係は必ずしも明らかではありませんが、
ギランバレー症候群、急性脳症、急性散在性脳脊髄炎、
けいれん、肝機能障害、喘息発作、紫斑などの報告がまれにあります。
今回の新型インフルエンザワクチンも程度の問題はありますが、
同様の副反応が予想されます。

ワクチン接種の効果と安全性は?

ワクチン接種の効果と安全性は?
インフルンザワクチンは、重症化等の防止については、
一定の効果が期待されていますが、感染防止の効果は、
保証されていません。
新型インフルエンザワクチンの接種の目的は、
①死亡者や重症者の発生をできる限り減らすこと
②患者が集中発生することによる医療機関の混乱を極力防ぎ、
必要な医療を確保することです。

国内産インフルエンザワクチンの安全性は、
季節性インフルエンザワクチンと同程度と考えられます。


ワクチンの効果の持続期間について
これまでの季節性インフルエンザワクチンでは、
2回接種した成績によりますと、
2回目の接種1~2週後に抗体が上昇し始め、
1カ月後までにはピークに達し、
3~4カ月後には徐々に低下傾向を示します。
したがって、ワクチンの予防効果が期待できるのは
接種後2週から5カ月程度と考えられており、
新型インフルエンザワクチンでも同程度と考えられます。

抗インフルエンザ薬

抗インフルエンザ薬

インフルエンザウイルスが細胞から細胞へ感染、
伝播していくためにはウイルスの表面に存在する
ノイラミニダーゼという酵素の作用が必要なのですが、
この作用を阻害することによってインフルエンザウイルスの増殖を
阻害する抗インフルエンザウイルス剤が開発されました。
ノイラミニダーゼはA、B型に共通であることから、
ノイラミニダーゼ阻害剤はA型、B型インフルエンザ両方に効果があります。


現在2種類の薬剤が使用可能となっていますが、
ザナミビルは健康保険の適応となっている薬で、
吸入タイプのものです。
経口薬であるリン酸オセルタミビル(タミフル)があります。
これらは発症後40~48時間以内に服用しないと効果がないと
されており早めの診断、治療が必要となります。
副作用は重篤なものはありませんが、
腹痛、下痢、嘔気などが出ることがあります。
行動異常が問題となっていますが、インフルエンザではそれ自体に
不穏、興奮、精神症状をきたすことがあるので、
この点は明らかになっていません。

インフルエンザの診断3

血清抗体検査
発病後7日以内と、回復した頃の2回、血液を採取し、
ウイルスに対する抗体ができているかどうかを調べます。
結果が出るまでに約2週間かかります。
・ウイルス分離検査
発病後3日以内にのどの拭い液やうがい液、鼻からの吸引液や
拭い液など(検体)を取り、その中からウイルスだけを取り出して、
どんなウイルスなのかをしっかりと調べる検査です。
結果が出るまでに5~10日ほどかかります。
迅速診断法に比べて非常に感度の高い方法ですが、
高度な技術が必要な検査なので、
一般の診療所や病院では実施できません。

・PCR検査
のどの拭い液や鼻からの吸引液などから
インフルエンザウイルスの遺伝子を検出する検査です。
新型インフルエンザかどうかを含め、
インフルエンザウイルスの詳細な分類も可能です。
この検査も高度な技術が必要なので、主に公的機関などでのみ実施され、
一般の医療機関では検査できません。

2012年5月29日火曜日

インフルエンザの診断2

迅速診断法
「迅速診断キット」と呼ばれる小さな検査器具を使い、
鼻からの吸引液や洗浄液、拭い液、
のどからの拭い液など(検体)を取って、
ウイルスがいるかどうかを調べます。
たくさんの種類のキットがありますが、
ほとんどがA型とB型のどちらも検査することができ、
15分以内で結果を得ることができます。
簡便で、発病してから2日以内であれば保険適用も認められているので、
診察の現場では広く使われています。

ただし、発症直後に検査した場合などでは検体の中にある
ウイルスの量が少ないために、
感染していても陰性になる場合があります。
また、流行状況や検査のやり方などの影響で検査陽性であっても実は
インフルエンザではない場合もあります。
最終的な診断は患者さんの症状等から総合的に判断します。
(新型インフルエンザA/H1N1型についても本方法では
必ずしも陽性になりません。
新型インフルエンザかどうかに関しては、
現状ではさらに詳細な検査が必要となります。)

インフルエンザの診断1

インフルエンザの診断

インフルエンザにかかっているかどうかを知るためには、
その症状の原因がインフルエンザウイルスであることを確かめなくてはなりません。
インフルエンザウイルスに感染しているかどうかを調べるには、
以下の2つの方法があります。

(1)ウイルスがいるかどうかを調べる
(2)身体の中にウイルスに対する抗体が出来ているかどうかを調べる


近年、「迅速診断法」という方法が開発され、
10~20分で結果を知ることができるようになりました。
現在使われている代表的な診断法には、次のようなものがあります。
2つ以上の検査を組み合わせて行うこともあります。

「迅速診断キット」と呼ばれる小さな検査器具を使い調べます。
「血清抗体検査」血液を採取し調べます。
「ウイルス分離検査」のどの拭い液やうがい液、鼻からの吸引液や
拭い液などから調べる検査です。
「PCR検査」主に公的機関などでのみ実施され、
一般の医療機関では検査できません。

パンデミック(世界的な大流行)の歴史

パンデミック(世界的な大流行)の歴史

20世紀に入ってからは、世界的な大流行(パンデミック)が3回起こり、
以下のような流行であったと考えられています。

1918~1919年(スペインかぜ)(A/H1N1)
全世界で6億人がかかり、2300万人が死亡。
日本では人口の半数(2380万人)がかかり、約39万人が死亡。
1957年(アジアかぜ)(A/H2N2)
日本では約100万人がかかり、約7700人が死亡。
1968年(香港かぜ)(A/H3N2)
日本では約14万人がかかり、約2000人が死亡
(翌1969年第2波で約3700人が死亡)。
これらのウイルスは、その後も少しずつ変異をしながら、
流行を繰り返しています。



現在毎年流行しているのは、
Aソ連型(A/H1N1)とA香港型(A/H3N2)およびB型です。
2009年春、新型インフルエンザ(A/H1N1)が世界で広まりました。
当初、ウイルスの遺伝子が豚インフルエンザ由来のため
「豚インフルエンザ」と呼ばれました。
現在、鳥インフルエンザウイルス及び人インフルエンザウイルスの遺伝子も
持つことが確認されており、WHO(世界保健機構)より
「パンデミック(H1N1)2009ウイルス」と命名されました。
米国CDCの報告によると、2009年5月の時点では季節性インフルエンザと
同様に感染力は強いものの、多くの患者は軽症のまま回復しています。
一方で、喘息などの慢性の病気を持っている方を
中心に重症化する例が報告されています。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症

インフルエンザが原因で、
日本の乳幼児の1万人にひとりが急性脳症を発症。
インフルエンザにともなう急性脳症を発症した患者のうちで、
その3分の1が死亡、3分の1に重い後遺症を残し、
残り3分の1は治ります。
高熱後1~2日以内に突然長いけいれんを
起こして意識障害が出たときは、
インフルエンザ脳症の疑いがあります。
脳症を合併するときは、
ほとんどはじめの日か2日目に起こっています。
9割がけいれんを起こし、けいれんする前にも奇声を発する、
意味不明の言動、ふらふらするなどの異常が見られます。
脳といっても、ものを考えたり、
手足を動かしたりする大脳と呼吸や循環など
生命に関係する延髄などの脳幹とでは症状も随分違います。
脳幹に異常が出る急性脳症では、
けいれんは短いものの早期に重体となり死亡する例が多く、
大脳の異常ではけいれんが長く続き命は助かるが
後遺症を残す傾向があります。


急性脳症

細菌やウイルスが感染して、脳がむくむ病気です。
発熱することが多く、嘔吐や下痢を伴います。
そのうち急にけいれんを起こしたり、
意識がもうろうとしたり急に倒れたりします。
意識障害やけいれんは治りにくい傾向があり、
運動機能が失われたり知的障害が生じる場合があります。

「新型インフル」でマスク争奪戦

「新型インフル」でマスク争奪戦

某店では、マスク約200枚が数時間で完売
新型インフルエンザで、マスク・パニックが襲来! 
5月、ついに首都圏にも侵攻してきました。
この影響で、薬局などには、マスクを買い求める人が殺到! 
東京都のドラッグストアでは、
開店後に陳列したガーゼマスク約200枚が、昼頃には完売。
大量に買い求める顧客が多いため、お1人様1~2枚の購入に、
制限しましたが、それでも、わずか数時間で売り切れてしまいました。
一方、都内の発熱相談センターには、
「マスクが買えない!」「どこに行けば買えるの?」
といった悩み多き相談が、相次いだ。


ヤフオクのマスクは、8.5倍の高価格で落札
こうしたマスクの品薄状態は、
ネットオークションを見ても明らかです。
楽天のオークションサイトでは、
マスクが高値で取引され、在庫がある店でも、
高価なマスクしか残っていない模様。
また、ヤフー・オークションに出品されたあるマスク(1箱50枚)には、
入札が殺到し、スタート価格1,980円が、落札時にはなんと17,000円! 
8.5倍に跳ね上がりました。
一方、厚生労働省は4月末、マスク業界に対し、増産を要請。
これを受けて、各メーカーは既に、
月に約3億枚の製造を目標に増産を開始して、
品薄状態は、徐々に解消された。

インフルエンザに負けない食生活のススメ

インフルエンザに負けない食生活のススメ

まずは免疫力をつけておくことが大切。
新型インフルエンザだけでなく、インフルエンザには香港型、
スペイン型などいくつもの種類があります。
ここ数年、ウイルスが複雑かつ強力になる傾向があり、
今回世界的に不足が予想されているタミフルなど、
本来未成年には使用しないとされる強い薬が必要とされる傾向にあります。
ここぞという時に強い薬を使うことは必要ですが、
なるべくなら薬を飲まないですむよう、
普段から免疫力をつけておく。
そこでものをいうのが毎日の食生活。


風邪などについても言えますが、
同じ環境にいてかかる人とかからない人がいます。
その理由としてはさまざまな要因が考えられますが、
その一つにあげられるのが自己免疫力の強さ。
免疫力を上げる食材はたくさんありますが、
代表的なのは紅参(高麗人参)です。
紅参そのものを買おうと思うと高額ですが、
お茶やエキスになっているものを常備しておけば、
スープやお味噌汁を作る際に入れるなど、
体にも家計にも優しく摂取することができます。
そのほか、生姜やにんにく、ねぎ、唐辛子、大葉、山芋なども、
普段のお料理に取り入れやすい免疫力アップ食材です。
βグルカンが豊富なきのこ類や大麦などもお勧めです。

小児のインフルエンザの特徴

小児のインフルエンザの特徴

小児のインフルエンザは成人のインフルエンザとの
共通の部分も多いが、以下のような特徴があります。
1、最高体温は成人に比べ高く、
特に5歳以下のインフルエンザでは
約10%に熱性けいれんをともなう。
2、鼻汁、中耳炎、腹部症状をともなう例が成人に比べ多い。
3、新生児が感染した場合、症状に乏しいため、
原因不明の発熱として扱われることがある。
4、仮性クループあるいは細気管支炎の原因となる。
5、神経症状の出現率が成人に比べ高い。
6、小児では、筋炎や肺炎の合併率が高い。


また小児では、経過中に一度インフルエンザが治ったかのように解熱し、
半日から1日で再び高熱を認める場合があり、2峰性発熱といわれます。
母親の免疫の存在する間は認められませんが、
生後6カ月頃からしだいにみられるようになります。
1~4歳で著明となり、その後加齢とともに少なくなります。

ハイリスク群を知っていますか?

インフルエンザに感染すると、
重症化や合併症を引き起こす可能性の高いグループのことで
下記の方が当てはまります。

1、65歳以上の高齢者、
2、妊娠28週以降の妊婦、
3、慢性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、肺線維症、肺結核など)、
4、心疾患(僧帽弁膜症・鬱血性心不全など)、
5、腎疾患(慢性賢不全・血液透析患者・腎移植患者など)、
6、代謝異常(糖尿病・アジソン病など)、
7、免疫不全状態の患者


ハイリスク群に当てはまる人は、日ごろから予防を心がけるだけでなく、
重症化を防ぐためにも医師と相談のうえワクチンを接種することが
望ましいと考えられます。
(ハイリスク群に限り、予防として承認された抗インフルエンザ薬があります。)
また、ハイリスク群の方本人だけでなく、
ご家族や周囲の方もワクチン接種を含む予防とインフルエンザにかかったら
早めの処置をすることが大切です。

インフルエンザウイルスは1年中います

なぜ流行するのか

インフルエンザウイルスは1年中います。
なぜ秋から冬になるとインフルエンザが流行するのでしょう。
最新の研究によると、インフルエンザウイルスは
絶対湿度が低いときに存続しやすく、
したがって人から人へも感染しやすいことが明らかになったという。
つまり、外気が冷えて乾燥していると
感染が起こりやすいことが確認されました。

インフルエンザウイルスにとって最も生存に適した環境とは、
温度20℃前後、湿度20%前後です。
冬の気象条件はウイルスにとって非常に都合が良いのです。
冬は、窓を閉め切った状態で部屋にいることが多くなりがちです。
中に患者が一人でもいて、セキやクシャミを行えば、
どうなるかは容易に想像が付くでしょう。


体の細胞に吸着した1個のウイルスは猛スピードで増殖します。
16時間後には1万個に、24時間後には
100万個に増えて粘膜細胞を破壊します。
そのため、インフルエンザの潜伏期は非常に短く、
短期間で大流行を引きおこしてしまいます。

特定のウイルスに感染して回復すると人間の体には
そのウイルスに対する抗体(免疫)ができて、
2度と感染しないのが普通ですが、
インフルエンザに何度も感染してしまうのは、
ウイルス自体が生き延びるために遺伝子の配列を少しずつ変え、
免疫の網の目をくぐりぬけているからです。

感染3つルート

インフルエンザは、主に次の3つのルートで伝播する。
1、患者の粘液が、他人の目や鼻や口から直接に入る経路。
2、患者の咳、くしゃみ、つば吐き出しなどにより
発生した飛沫を吸い込む経路。
3、ウイルスが付着した物や、握手のような直接的な接触により、
手を通じ口からウイルスが侵入する経路。
この3つのルートのうち、どれが主要であるかについては明らかではないが、
いずれのルートもウイルスの拡散を引き起こすと考えられています。

感染してウイルスが体内に入ってから、
2日~3日後に発症することが多いが、
潜伏期は10日間に及ぶこともあります。
子どもは大人よりずっと感染を起こしやすい。
ウイルスを排出するのは、症状が出る少し前から、
感染後2週間後までの期間で、
インフルエンザの伝播は、数学的なモデルを用いて近似することが可能で、
ウイルスが人口集団の中に広がる様子を予測する上で役に立つ。


空気感染において、人が吸い込む飛沫の直径は0.5から5ミクロンであるが、
たった1個の飛沫でも感染を引き起こし得る。
1回のくしゃみにより40000個の飛沫が発生するが、
多くの飛沫は大きいので、空気中から速やかに取り除かれる。
飛沫中のウイルスが感染力を保つ期間は、湿度と紫外線強度により変化します。
冬では、湿度が低く日光が弱いので、この期間は長くなります。
インフルエンザウイルスは、いわゆる細胞内寄生体なので
細胞外では短時間しか存在できません。
紙幣、ドアの取っ手、電灯のスイッチ、家庭のその他の物品上で短時間存在でき、
物の表面においてウイルスが生存可能な期間は、条件によってかなり異なります。

2012年5月24日木曜日

感染症は人類の大きな脅威

公衆衛生の普及や著しい医療の進歩にもかかわらず、
感染症はいまだ人類の大きな脅威になっています。
特に、新型インフルエンザの大流行です。

保健医療分野での対策方針は、
インフルエンザの専門家によって取りまとめられたものであり、
新興感染症対策の世界基準に則った内容となっています。
しかし、日本の保健医療現場の状況は近年激動にあり、
新型インフルエンザの大流行に対して、
急速に変化しつつある現場の状況に対応しながら、
行動指針が規定する対策を進めていくのは至難の業です。
また、指針と手引きは、区別して考える必要があります。
すなわち、国が示す指針は1つの
課題に対して大まかな方針を定めたものであり、
実際の保健医療現場で対応を行う際の手引きは、その方針に従って態勢を作り、
それを運営していくための具体的な手順を示すものです。
しかし残念ながら、これまで新型インフルエンザ対策の指針が
次々と改訂されていくなか、保健医療現場では新型インフルエンザが
発生したときの問題の要点とその具体的な対策手順を具体的に解説し
関連資料を収録したマニュアルは殆ど出されていません。


新型インフルエンザ対策には、他の感染症対策とは異なる特性があります。
例えれば、大流行がいつ起こり、どれくらいの期間続くのか、
流行するウイルスの病原性・毒性はどれくらい強いか、
予防ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬は有効なのか、
等々、誰もが思いつく素朴な疑問について誰もが精確に
答えることが出来ないことです。
このような事情が保健医療の最前線でなかなか進歩しない、
現実的な対応策ができていない要因になっています。
新型インフルエンザ発生が現実化した今こそ、
保健医療分野における迅速かつ確実な対応が求められています。