妊婦のインフルエンザワクチン接種
非妊娠時と比較すると、インフルエンザに対する抗体を
有していない妊娠中期および末期の妊婦は、
インフルエンザに罹患する確率が有意に高まる。
そのため、米国ではCDC(疾病管理センター)、
産婦人科および小児科などの学会が妊婦に対する
インフルエンザワクチン接種を
推奨している。
また、WHO(世界保健機関)も妊娠14週以降の妊婦に対する
インフルエンザワクチン接種を推奨しており、
特に高血圧や腎疾患などを合併するハイリスク妊婦に関しては、
妊娠初期でもインフルエンザワクチンを接種すべきであるとし、
欧米において妊婦は、老人、小児と並びインフルエンザワクチン接種の
優先順位の上位にランクされている。
そのような欧米における現状とは対照的に、我が国においては、
使用されているインフルエンザワクチンの貼付文書に
「妊娠中の接種に関する安全性は確立されていないので、
妊婦または妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、
予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断されると
思われる場合にのみ接種すること」とあるため、
実際の日常臨床の場において、妊婦に対しインフルエンザワクチンを
積極的に接種することは、まれであると言わざるを得ない。
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