2012年5月30日水曜日

妊婦のインフルエンザワクチン接種2

妊婦のインフルエンザワクチン接種

インフルエンザワクチンは不活化ウイルスワクチンである。
生ワクチンは生きた病原体を接種するため、
妊婦への接種は原則的に禁忌で、妊娠前に接種した場合には、
日本ではその後2ヶ月間、米国では3ヶ月間避妊することになっている。
一方不活化ワクチンやトキソイドは、
生きた病原体そのものを接種するわけではないため、
胎児への感染は問題にならない。
したがって、妊婦がもしも感染の可能性が高い状況にある場合には、
その予防接種を行う。
しかし、不活化ワクチンであっても、
ワクチン接種によって母体の全身反応や発熱、
場合によってはショックなどが起こる可能性もあり、
その場合には流産や早産のリスクがあるため、
積極的な接種には、十分なインフォームドコンセントや
その後の経過観察などの配慮が必要である。


日本では、妊婦に対する認識は比較的低く、
妊婦に対するインフルエンザワクチン接種の
影響の調査がまだ十分でないことから、
積極的には勧められないとしている。
しかし、現在までに、インフルエンザワクチン接種によって
特別の有害事象が発生したという報告はない。
これに対し、米国では、妊娠中のワクチン接種は積極的に勧められている。
インフルエンザの流行の始まる前に妊婦に接種することは、
できれば胎児の器官形成期である妊娠初期を除けば、
基本的に安全と考えてよく、また、妊娠に気付かず接種してしまった場合
でも問題はないと考えられる。

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